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『5』の表紙の画像はどうやってつくっているのか?と尋ねられることがたまにあります。第3号(2015年6月発行)の表紙では、苔の生えた地面に「5」の文字が重なっている写真を使いました。Photoshopで合成したようにも見えますが、実際は、モバイルプロジェクタで地面に「5」の画像を投影しながら写真を撮影するという、ベタな手段を使っています。

撮影日は、2015年2月19日。編集室の松井貴子さんと二人で撮影に臨みました。松井さんがプロジェクタを持ち、宮田がカメラを持ち、「5」の文字を壁だの地面だのに投影しながら東京大学本郷キャンパス内を練り歩き、約600点の写真を撮りました。表紙に使用した苔の地面の写真は、三四郎池の周辺で撮ったものです。

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三四郎池の周辺には木や草が多く、絵になる場所がたくさんあります。

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もしこの写真を表紙に使っていたら、第3号はもっと南国風のイメージになっていたかもしれません。

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こういうモコモコした質感の苔も良い感じです。実際、この写真を表紙に使おうかどうか、最後まで迷いました。が、特集のテーマを考えると、人工的なものと自然に朽ちていくものが一緒になって落ちている地面の方が良いと思い、この写真は残念ながら却下しました。

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うっかりしていると、自分たちの足も写ってしまいます。

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ハトの背中に「5」の文字を投影できたらおもしろいのでは!と思いついてがんばりましたが…

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逃げられてしまいました。

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ハトがダメなら、水に映る「5」の文字もいいのでは!と思いついて撮影しようとしましたが、画角的にどうしてもプロジェクタを持っている松井さんの手が写ってしまったり、

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凹凸の大きすぎる場所に投影すると、「5」の文字には見えなかったり。

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こういう場所も、「5」の文字が崩れてしまう…。

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という試行錯誤を重ねたうえで、無事に冒頭の写真が撮れたのでした。撮影中、興味深げにしばらく見ていてくださった方もいましたし、「あの人たちなにやってるんだろう…」「でも真剣そうだから声かけちゃ悪いよ…」というささやきだけ残して通り過ぎていった方もいらっしゃいました。その節は、怪しい二人組が構内をウロウロしていてご迷惑をおかけしました。じつはこんなことをしていたのでした。

Masako Miyata / 宮田雅子